いろいろ特典がある?青色申告制度

日々の会計の疑問
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よく、確定申告=青色申告、というように考えている方々がいらっしゃいます。

国税調査官や指導員をしていてそういったような認識である方を結構お見受けします。

確定申告は、青色申告ってやつじゃないとダメなの?

青色申告をするとお得だって聞いたけど、何がどうお得なの?

青色申告するには条件があるって来たんだけど。

面倒だったらやれないな。

そこで、今回は以下のことを解説していきます。

〇確定申告の2種類の方法(青色申告、白色申告)

〇青色申告の特典

〇青色申告の条件

確定申告の2種類の方法(青色申告、白色申告)

所得税は、自発的納税協力のもと、納税者みずからが税法に従って所得金額と税額を計算し、税務署に申告して納税を行う申告納税方式を採用しています。

そして、青色申告は、日々の取引について一定水準の記帳を行い、その記帳に基づいて正しい申告をすることができるのであれば、所得の計算などについて有利な取り扱いを受けることができます。

さらに、青色申告以外の申告のことを白色申告といいます。

青色申告の特典

青色申告の特典として、以下のようなものがあります。

白色申告と照らし合わせてみてみましょう。

項目青色申告白色申告
青色申告特別控除一定の要件を満たせば、65万円、55万円または10万円の青申告特別控除が適用
適用なし
青色事業専従者給与もっぱら事業に従事する配偶者や一定の親族(専従者)に支払う給与の全額を必要経費にできる専従者1人当たり最高50万円(配偶者は86万円)を限度として控除が受けられる
純損失の繰越控除その年の損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越し、順次各年分の所得金額から差し引ける変動所得または被災事業用資産の損失に限って純損失の繰越控除ができる
純損失の繰戻還付その年の損失額を前年分の所得金額に繰り戻して控除し、前年分の所得税の還付をうけられる適用なし
なお、これはあくまで「所得税」の青色申告制度です。
法人の青色申告制度はまた違う特典があります。

青色申告の条件

1.管轄税務署への申請

青色申告をするためには、以下の提出期限までに納税地の管轄税務署へ所得税の青色申告承認申請書を提出しなければなりません。

区分申請書の提出期限
原則その年の3月15日まで
その年の1月16日以後に事業を始めたとき業務開始の日から2か月以内
青色申告の業務を相続した被相続人の死亡が1月1日~8月1日死亡日から4か月以内
青色申告の業務を相続した被相続人の死亡が9月1日~10月31日その年の12月31日まで
青色申告の業務を相続した被相続人の死亡が翌年の2月15日まで翌年の2月15日まで

この期限を守って提出する必要があります。

この期限を過ぎてから提出した場合、青色申告の適用は翌年からになります。当年は白色申告の扱いになります。

青色申告をするつもりで提出していても、期限が過ぎていれば当年は青色申告の特典を受けることができません。提出期限だけは注意しましょう

ちなみに、青色申告は基本的に一度出せばそのまま翌年以降も青色申告の適用があります。自分で青色申告の取りやめの届を出さない限りはそのまま青色申告が続くと考えていてください。ただし、ある一定の基準で青色取り消しに該当する場合などで適用が外されることがあります。

2.記帳と帳簿書類等

青色申告をする者は、原則として正規の簿記の原則(複式簿記)により記帳をします。

簡易記帳でも可能ですが、65万円、55万円の控除を受けようとする場合、複式簿記の記帳が必要になります。

      区  分備付帳簿
複式簿記現金の出入りだけでなく、資産や負債の動きも同時に記帳することができるために、損益計算書と貸借対照表を作成することができる仕訳帳、総勘定元帳など
簡易帳簿家計簿や小遣い帳と同様の形式で、現金取引を中心に売上、仕入、経費の動きを記帳する。複式簿記のように貸借対照表の作成はできない。現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など

小規模事業者に当たる青色申告者は、現金主義による所得計算の特例を受けることができます。この場合は、現金式簡易帳簿などでの記帳ができます。ただし、10万円控除になります。

3.帳簿書類の保存

以下の帳簿等を下記の期間にわたり保存する義務があります。

区分保存が必要な帳簿等保存期間
帳簿記帳方法に応じた備付帳簿7年
決算関係書類青色申告決算書、棚卸表など7年
現金預金関係書類領収書、預貯金通帳、小切手帳、借用書など7年
その他の書類請求書、見積書、契約書、納品書、送り状、領収書控えなど5年

4.優良な電子帳簿保存とe-Tax(65万円控除)

正規の簿記の原則(複式簿記)による優良な電子帳簿保存を行い、かつ、e-Taxでの確定申告を行うことで、65万円の控除を受けることができます。

まとめ

所得税の青色申告制度は次のようになります。

控除額適用要件
55万円①事業所得または事業的規模の不動産所得のある人
 (現金主義による所得計算の特例を受ける人は除く)
②上記の所得にかかわる取引を正規の簿記の原則(主に複式簿記)で記帳していること
③上記の記帳に基づいて作成した貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付し、法定期限内に提出すること
65万円・55万円の要件に加えて、以下のいずれかに該当すること
・②の仕訳帳及び総勘定元帳について優良な電子帳簿の要件を満たした電子帳簿保存を行い、所定の届出書を提出していること
・③の確定申告をe-Taxで行うこと
10万円・上記の控除額の適用を受けない青色申告者

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