減価償却資産というものがあるのはわかったけど、そもそも1年で経費にできるできないとかって、どうやって判断するの?
耐用年数に合わせて必要経費にしていいっていうけど、そのまま均等に償却していいの?
このようなことが想定されます。では、今回は以下のことを解説していきます。
〇減価償却資産の取り扱い
〇減価償却資産の償却方法
減価償却資産の取り扱い
減価償却資産は、使用可能期間や取得価額を基準として、以下のように取り扱うことになっています。
使用可能期間 | 取得価額 | 取り扱い |
1年未満 | 10万円未満 | ①取得価額をその年の必要経費にします。 取得した年に業務に使用開始しなかった場合は、必要経費とはせずに、貯蔵品(資産)として計上をしておくことができます。 |
1年未満 | 10万円以上 | ①と同様です。 |
1年以上 | 10万円未満 | ①と同様です。 |
1年以上 | 10万円以上 | ②原則として、減価償却の対象として考えます。 |
1年以上 | 10万円以上 20万円未満 | ②原則として、減価償却の対象として考えます。 ③ただし、選択特例として、一括償却資産とすることができます。 ※取得価額が10万円以上20万円未満の場合は、取得価額の3分の1の金額を3年間にわたって均等に各年の必要経費として算入できます。 |
1年以上 | 10万円以上 30万円未満 | ②原則として、減価償却の対象として考えます。 ④ただし、選択特例として、少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例の適用を受けられます。 ※取得価額が10万円以上30万円未満であり、平成18年4月1日から令和6年3月31日までの間に取得などして業務(一定の貸付を除く)に使用した場合、取得価額の全額をその年の必要経費として参入が可能です。これは、1点30万円未満、合計で300万円未満まで計上が可能です。 |
※使用可能期間が1年未満というのは、法定耐用年数では見ないで、その業種において一般的に商法性があるものとして認識され、かつ、その平均的な使用状況・補充状況等から判断します。
※取得価額が10万円未満は、通常1単位として取引される単位ごとに判断します。例えば、カーテンなどは数枚を組み合わせて1つの役割を担いますから、部屋ごとなどを1単位として合計して判断します。
※年間の限度額300万円は開業や廃業でその年の業務期間が1年に満たないとき、300万円を12で割って業務を営んだ月数(1月未満の場合は1月に切り上げします)を掛けた金額になります。
※少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例は、常時使用する従業員の数が500人以下の青色申告を行う個人に対し適用されます。なお、特例の適用を受ける資産は、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に掲載し、その摘要欄に「措法28の2」の記入が必要です。
減価償却資産の償却方法
償却方法は、資産の種類や取得日に応じて、法律により指定されています。これを法定償却方法といいます。なお、一部の資産は法定償却方法以外の方法を選択することもできます。
減価償却方法の種類 (鉱業用減価償却資産・ リース資産を除く) | 取得日 | 償却方法 | |
(元号は平成) | 法定償却方法 | 届け出により選択 | |
有形減価償却資産 | |||
建物 | 19年4月1日以後 | 定額法 | |
10年4月1日~19年3月31日 | 旧定額法 | ||
10年3月31日以前 | 旧定額法 | 旧定額法・旧定率法 | |
建物付属設備、構築物 | 28年4月1日以後 | 定額法 | |
24年4月1日~28年3月31日 | 定額法 | 定額法・改正定率法 | |
19年4月1日~24年3月31日 | 定額法 | 定額法・定率法 | |
19年3月31日以前 | 旧定額法 | 旧定額法・旧定率法 | |
機会及び装置、船舶、 | 24年4月1日以後 | 定額法 | 定額法・改正定率法 |
航空機、車両及び運搬具、 | 19年4月1日~24年3月31日 | 定額法 | 定額法・定率法 |
工具、器具及び備品 | 19年3月31日以前 | 旧定額法 | 旧定額法・旧定率法 |
無形減価償却資産、生物 | 19年4月1日以後 | 定額法 | |
19年3月31日以前 | 旧定額法 |
ご覧のように計算方法が何回も改定され、取得日に応じて以下のように区別しています。定額法の減価償却費に対する比率から、定率法は250%定率法、改正定率法は200%定率法ともいわれます。各計算方法の償却率などは、資産の耐用年数に応じて定められています。
24年4月1日以後 | 19年4月1日~24年3月31日 | 19年3月31日以前 |
定額法・改正定率法 | 定額法・定率法 | 旧定額法・旧定率法 |
届け出により償却方法を選択できるのは、①新たに業務を開始した人、②すでに取得している減価償却資産と異なる種類の減価償却資産を取得した人、③従来の償却方法と異なる償却方法を選定する事業所を新たに設けた人です。
届け出により償却方法を選択する場合、所得税の減価償却資産の償却方法の届出書をその年の3月15日までに税務署に提出する必要があります。
現在使っている償却方法を法定償却方法以外に変更する場合は、所得税の減価償却資産の償却方法の変更承認届出書をその年の3月15日までに税務署に提出して承認を受けます。なお、変更後の減価償却費の計算には一定のルールが設けられているので、注意してください。
ここまで書いてきましたが、要するに、これから新しく事業を始める方にとっては、
減価償却資産を計算しなければならないときは、「定額法」という計算方法を調べればよい、ということになります。
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