事業所得の主な必要経費については、日々の会計の疑問カテゴリー中の記事にまとめてありますので、それをご覧ください。ここでは、売上原価の計算、棚卸資産の計算方法について解説を以下の通り解説していきます。
〇売上原価とは
〇売上原価の計算方法
1.棚卸資産の範囲
2.実地棚卸による数量と品質の把握
3.棚卸資産の評価方法(棚卸高の計算)
4.破損品・棚ざらし品や仕損品・作業くずなどの評価
5.棚卸表の作成
6.売上原価の計算
売上原価とは
その年の売上(収入)金額に対応する商品などの原価のことを売上原価といいます。これは必要経費に算入します。
売上原価の計算方法
一般的には、棚卸しによって売上原価を計算する方法によっておこないます。
1.棚卸資産の範囲
棚卸資産とは、棚卸を行う資産をいいます。大体以下のようなものを言います。
〇商品、製品(副産物と作業くず含む)、半製品、仕掛品(半成工事を含む)、原材料など
〇消耗品(包装材料、事務用品など)や少額な減価償却資産(工具、器具、備品等耐用年数1年未満または取得価額が10万円未満)で未使用により貯蔵中のものなど
※消耗品のうち、毎年おおむね一定数量を取得して経常的に消費するもので、年末時点で通常の年に比べて棚卸高がとくに増えていないものには、継続的な適用を前提として棚卸を省略し、その年に購入した金額を全額必要経費とすることができます。
2.実地棚卸による数量と品質の把握
棚卸資産の期末棚卸高(単価×数量)を計算するために、まず、商品・製品・半製品など棚卸資産の在庫(事業所以外に預けている在庫含む)を直接数えて、その数量と品質を確認します。これを実地棚卸といいます。実地棚卸は、原則として年末(12月31日)におこないますが、年末から前後した日に行う場合は、実施日と12月31日との間の売上や仕入などから12月31日現在の在庫数量を計算します。
3.棚卸資産の計算方法(棚卸高の計算)
棚卸資産の期末棚卸高を計算するため、1単位当たりの単価を明らかにします。これを棚卸資産の評価といいます。評価方法は複数ありますが、事前に税務署に届け出ている場合を除いて、最終仕入原価法により評価を行います。
最終仕入原価法
期末に最も近い日に仕入れた時の仕入単価×期末数量=期末棚卸高
※届け出により棚卸資産の評価方法(原価法または低価法)を選択できるのは①新たに業務を開始した人、②従来の事業以外に他の種類の事業を開始した人、③事業の種類を変更した人、になります。
※棚卸資産の評価方法の届出書をその年の3月15日までに税務署に提出します。原価法または低価法以外の特別な評価方法を選択する場合は、その承認を受ける必要があります。
4.破損品・棚ざらし品や仕損品・作業くずなどの評価
災害などによって著しく損傷したり、棚ざらしや流行遅れなどにより形式・性能・品質等が著しく陳腐化したことで、通常の価格や方法で販売できないものは、12月31日現在の時価(処分可能価額)で評価することができます。また、製造の過程で生じた著しく少額な仕損品・作業くず・副産物は、1円以上の価額で評価することができます。
5.棚卸表の作成
それぞれの棚卸資産の期末棚卸高が明らかになったら、一目で見て内容がわかる棚卸表を作成します。破損品や仕損品等があった場合は、他の棚卸資産と区別して記入します。なお、実地棚卸の際に数量を記入したメモなどの原始記録は、棚卸表とともに保存します。
※棚卸表の例
種別 | 品名 | 数量 | 単価 | 金額 | 備考 |
商品 | 甲 | 10個 | 1,100円 | 11,000円 | |
〃 | 乙 | 20個 | 2,200円 | 44,000円 | |
〃 | 丙 | 50個 | 5,500円 | 275,000円 | |
合計 | 330,000円 |
6.売上原価の計算
その年の売上原価は、以下の計算式によります。
売上原価の計算方法
期首棚卸高+当期仕入高(製造原価)ー期末棚卸高=売上原価
コメント