10種の所得を計算したら、税額計算の基礎となる所得金額を総合して計算していきます。
今回は、所得の集計について、以下の通り解説していきます。
〇損益通算
〇純損失の繰越控除
〇純損失の繰越還付
所得税は総合課税を基本としているので、申告分離課税となるものを除いて、個別に計算した各種所得の金額を合計し、税額計算の基礎となる所得金額を計算します。
損益通算
損益通算とは、総合課税の対象となる不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得の金額の計算上生じた一定の損失を一定の順序に従って、他の所得の金額から控除することです。損益通算をしても引ききれなかった損失の金額がある場合は、その金額を純損失の金額といいます。
※配当所得、給与所得、一時所得、雑所得の金額の計算上生じた損失は、他の所得の金額から控除できません。
※生活に通常必要でない資産にかかる不動産所得、譲渡所得の金額の計算上生じた損失は、一定の競走馬の譲渡を除いて、他の所得の金額から控除できません。また、不動産所得の金額の計算上生じた損失のうち、土地(土地の上に存する権利を含む)の取得に要した負債の利子に相当する部分の金額は、他の所得の金額から控除できません。
※申告分離課税の土地、建物などにかかる譲渡所得の金額の計算上生じた損失は、居住用財産にかかる損失を除いて、他の所得の金額から控除できません。
※金融商品取引業者を通じて譲渡した上場株式等の譲渡所得の金額の計算上生じた損失は、その年の上場株式等にかかる配当所得等の金額(特定公社債等の利子所得を含む。申告分離課税を選択したもの二限る)から、その合計額を限度として控除できます。
※申告分離課税の株式等にかかる譲渡所得の金額の計算上生じた損失は、株式等にかかかる譲渡所得以外の所得の金額から控除できません。また、申告分離課税の先物取引にかかる雑所得の金額の計算上生じた損失は、先物取引にかかる雑所得以外の所得の金額から控除できません。
純損失の繰越控除
損益通算をしても引ききれなかった純損失や雑損失の金額がある場合、次の条件で翌年以後3年間にわたり、損益通算後の所得金額から一定の順序で、その損失の金額を控除(繰越控除)できます。
区分 | 差し引くことのできる損失の金額 | 適用要件 |
青色申告者 | 〇雑損失の金額 〇純損失の金額 | 損失が生じた年の青色申告書を提出し、かつ、その後連続して確定申告書を提出していること |
白色申告者 | 〇雑損失の金額 〇純損失の金額のうち、変動所得と被災事業用資産の損失 | 損失が生じた年の確定申告書を提出し、かつ、その後連続して確定申告書を提出していること |
純損失の繰越還付
青色申告者は、純損失の金額の全部または一部を繰り戻して、前年分の所得税(青色申告を行っていること)の還付を受けることができます。その年分の確定申告書にあわせて、純損失の金額の繰戻による所得税の還付請求書を申告期限内に提出します。
その年に事業の譲渡や廃止など一定の事情があり、前年に生じた純損失の金額を繰越控除できない場合は、前年の純損失について前前年分の所得税(青色申告を行っていること)の還付を受けることができます。
コメント